ジョークが通じた
鎖場をようやく超えた。
上から外人いや西洋人が
降りてくる。
「あとどのくらい」
適当な英語で聞く。
「あとすぐだよ。」
そんな感じの言葉だった。
でもお前と俺とは足の長さ
が違うぜとジェスチャーで
示すと、ウケた。
登っていく人達が次々と
あきらめて止まっている。
強風で息ができないほどだ。
俺はいくぜ
しばらくするとワイフが急に
私はここで待っていると言い
だした。
ここまで無理していたのだろう。
迷った、迷った。どうすべきか
でも、ここで引き返したら
山ヤの名がすたる。
「ゴメン、すぐに行ってくるから」
ワイフを置いて、頂上へむかう。
風が強く、2メートル以上高さのがけ
を一人で這いつくばって登る。
こりゃ、ワイフを連れてきたら、
無理だったな。
吹き付ける風と高さで恐怖を
感じる。
20分ほど歩くと遠くにオペリスク
のようなものが見えた。
何人か人がかたまっている。
あと少しだ。
もう帰る人ばかりすれ違う、
やっぱり最後だ。
後ろからは誰もこない。
急がなければ走り出そうとする
気持ちを抑えて進む。
もう少し、もう少し。
