海外・国内旅行 こんな所行ってきました

海外・国内旅行に関するいろいろな面白話を載せてます。

深秋の大正ロマン旅 ㉔ 水入らずではなくお湯いらず

2時になったので、宿の玄関に入った。

声をかけるとあわてて、

男の人が出てきて

「Tさん」ですかと言われる。

いえ、荷物を預けていたものですと

言うと恥ずかしそうに、

今電話をもらった人が

もう着いたのかと思ったのでと言った。

玄関を上がり、名前を書くよう言われ

コーヒーメーカーは自由に使える、

風呂は2つあって、使用しているときは

鍵を閉めてください。

閉まっていなければ使えますとのこと。

私がつまり家族風呂ですねと

言うとそうですと答えた。

動揺は顔に出なかったと思う。

それから部屋に案内された。

2階の突き当たりの部屋で、

わずかに期待していた川側では無かった。

戸を開けると山と隣の宿である。

8畳の居間と戸を挟んで

玄関、洗面、トイレがあった。

珍しいのは、給水機があり、

お湯と水がでるようになっている。

荷物をほどいて、浴衣を確認する。

入浴用のかごが青とピンク。

巾着には歯ブラシやタオルが入っていた。

ワイフはきれいな巾着が気に入ったようだ。

かごは青にすると宣言。

わたしは別にいいよと言って

ピンクのかごになった。

早めに風呂に入りたいね。と言うので、

1階に降りて聞こうとしたが、

なんか聞きにくい。

部屋に戻って電話で尋ねた。

3時には入れるらしい。

ワイフは安心したのか、

珍しくテーブルの饅頭を食べている。

美味しいよと勧められたが、

明日の朝にすると言った。

3時になったので、

浴衣に着替えて、風呂に行く。

脱衣場に入って鍵を閉める。

素早く脱いで、風呂場へ

秒速で、頭を洗って湯船に浸かる。

ワイフもシャンプーをしている。

じろじろ見るわけに行かないので、

反対方向に向いて浸かっている。

そろりと湯に入ってきた。

二人で湯船で向かい合う。

なんせ、結婚してからうん十年

一緒に風呂に入った事など無い。

話すことが浮かんでこない

なんか照れ臭いというか恥ずかしい。

でもこれも旅の一興の一つだ

30分くらいで、風呂をでると、

同宿の夫婦が前に立っていて、

入れ替わりに入っていった。

ちゃんと桶を整頓してきたのと

確認された。

ううんと曖昧な返事を返した。